アメリカ大統領が出した奴隷解放宣言について

アメリカ大統領が出した奴隷解放宣言というものを知っているでしょうか。

奴隷解放宣言はアメリカ国内において南北戦争が起こっている最中に出されたものです。

それならば、この奴隷解放宣言を出したアメリカ大統領は誰なのでしょうか。

そしてどのような意図で出されたものなのでしょうか。

ここでは奴隷解放宣言とアメリカ大統領について解説します。

奴隷解放宣言を出したアメリカ大統領

1863年1月1日、奴隷解放宣言が出されました。

南北戦争が1861年から始まっていましたが、この宣言は戦争の最中に出されたということになります。

この宣言を出したアメリカ大統領こそ、第16代合衆国大統領エイブラハム・リンカーンです。

リンカーン大統領はもともと奴隷制に反対の立場をとっている共和党の大統領でした。

この時アメリカの南部は奴隷制の維持を推進しており、アメリカの北部は奴隷制の廃止を求めていました。

そんな時に奴隷制に反対の立場をとる大統領が就任したため、アメリカの南部はアメリカ連合国として合衆国を脱退しようとしたのです。

南北戦争が起こった理由

つまり、南北戦争というのは奴隷制に賛成の南部と奴隷制に反対の北部がぶつかった戦争ではあるのですが、実際には南部が合衆国を出ようとしたことによりアメリカが分裂の危機を迎え、それによって戦争が起こったのです。

これ以外にもアメリカ南部は綿花プランテーションによって成り立っており、綿花を輸出するために自由貿易を期待していました。

それに対してアメリカ北部は商工業で成り立っており、特に産業革命を経て強い工業力を持っていたイギリスからの商品を排除するために保護貿易を期待していたのです。

このような違いも南北戦争が起こるきっかけになったといえます。

奴隷解放宣言が出された理由

それならばなぜ奴隷解放宣言が南北戦争の最中に出されたのでしょうか。

これは政治的意図があってのことです。

確かにリンカーン大統領は奴隷制に反対でしたが、この時南北戦争においては南部が優勢でした。

このままではアメリカが2つに分かれてしまうということに危機感を覚えたリンカーンは、奴隷解放宣言を出すことによって南北戦争の大義名分は奴隷制の廃止であるということを世界に発表したのです。

つまり、奴隷制の廃止を求めて戦争が起こっているということになれば、奴隷制を廃止したヨーロッパ諸国はアメリカ南部を応援することができなくなりますよね。

実際に例えばイギリスは綿花の輸出入を期待して南部を支持していました。

しかしイギリスはすでに奴隷制を廃止していましたから、そんなイギリスがアメリカの南部を支援すれば矛盾が生じてしまいます。

さらにこれは人道的な問題にも関わりますから、ヨーロッパの国々は南部の支援をすることができなくなってしまったのです。

これにより北部は南北戦争で勝利を収めることができました。

これこそが奴隷解放宣言が出された政治的意図なのです。

まとめ

いかがでしょうか。

奴隷解放宣言は人道的な理由で出されたと思っている人も多いかもしれませんね。

確かに人道的な理由もあるのですが、奴隷解放宣言が出された直接的な理由というのはあくまでも政治的なものなのです。