アメリカの第16代大統領エイブラハムリンカーンは若い頃から奴隷制に批判的だった、その奴隷制を批判するために大統領となり、奴隷解放宣言を出した、南北戦争においては北部が勝利したことにより、奴隷制が廃止された、などというストーリーを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、実は奴隷解放宣言というのは奴隷制の廃止だけを純粋な目的として出されたものでは無いのです。
それならば奴隷解放宣言はなぜ出されたのでしょうか。
ここでは奴隷解放宣言がなぜ発布されたのかということについて解説します。
リンカーンの立場
もともとアメリカ南部の経済は綿花のプランテーションによって成り立っており、だからこそ奴隷制を推進していました。
それに対してアメリカ北部の経済は商工業によって成り立っており、奴隷制の廃止を求めていたのです。
ヨーロッパでは既に奴隷制の廃止が進められていましたが、黒人はまだまだ市民権を与えられていなかったため、黒人を見下す人はたくさんいたと考えられています。
そして実はリンカーンは奴隷制に批判的な人物ではありましたが、絶対に奴隷制を廃止しなければいけないという考え方ではなく、必要に応じて可能という考え方の持ち主だったのです。
南部が優勢
そんな中、南北戦争が始まると奴隷制の推進を期待していたアメリカの南部が優勢になっていきました。
また、南部は自由に綿花を輸出するために自由貿易を期待しており、それを魅力的に感じたヨーロッパ諸国が南部の見方をしていたのです。
しかし南部が南北戦争で勝利してしまえばアメリカ連合国として独立してしまうことになり、アメリカ合衆国が2つに分かれてしまう危険があったのです。
政治的な意図
このままではアメリカ南部が勝利してしまうということに危機感を覚えた林間は政治的な意図を持って奴隷解放宣言をいたしました。
なぜかというと、南北戦争の大義名分をアメリカの分裂を防ぐため、ということではなく奴隷制の廃止を正当化するため、ということにしてしまえば、既に奴隷制を廃止しているヨーロッパ諸国は奴隷制の存続を求めている南部の支援ができなくなります。
戦争の大義名分が奴隷制をめぐっているものであれば、奴隷制を廃止した国家が奴隷制を求めている地域の味方はできないですよね。
これによりアメリカ南部は味方を失ってしまい、南北戦争で敗北したとも言えるのです。
まとめ
いかがでしょうか。
南北戦争が起こった背景には南部と北部の分裂を防ぐためという理由がありますが、 奴隷解放宣言というのは北部が戦争に勝つために出されたものであり、人道的な理由により出されたものでは無いのです。
もちろん人道的な理由もありましたが、そればかりが全てではないということになります。